2008年4月、神戸市教育委員会は、いったん副主任に任命した外国籍教員を「外国籍」であることを理由に解任するという外国籍教員への差別事件を起こしました。
昨年、兵庫在日外国人人権協会・兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会は、『校長先生、私を差別するんですか -外国籍教員の任用(常勤講師)問題の解決へ向けて-』を出しました。この冊子は冊子は、垂水中学校での差別事件の報告をメインにしました。
今年度新たに出した冊子『知っていますか?外国籍教員差別を!―外国籍教員の任用(常勤講師)問題の解決に向けて―』は、「これを読めば、外国籍教員問題のすべてがわかる」というものをつくりたいという願いからつくったものです。まず、外国籍教員任用問題の歴史的経緯、法理論的な整理を行いました。また、外国籍教員の置かれた状況と課題の把握のために、全国在日外国人教育研究協議会(全外教)30周年を記念したシンポジウムの記録を掲載しました。さらに、資料編として外国籍教員に関する法規、通知、国会での議事録などを付録しました。まさに、外国籍教員問題に真正面から迫った冊子です。
なお、全外教30周年シンポジウムは、各地から外国籍教員がパネラーとして出席し、「在日外国人教員の任用の現状をめぐって」というテーマで話しあいました。在日教員の存在の意義やまわりとの軋轢などそれぞれの現場の実情を出しあい、また、各自治体の教員採用試験における国籍条項の撤廃、その後の採用状況等が語られ、外国籍教員が置かれた状況と課題を浮き彫りにしています。
資料編も充実しています。外国籍教員問題に関するすべての資料を収集できたのではないかと考えています。
目次
はじめに
孫 敏 男(兵庫在日外国人人権協会代表)
第一章 公立学校教員の国籍条項撤廃とその差別任用の問題
藤川正夫(兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会代表)
1)戦後の国籍の喪失措置と差別
2)地方公務員の国籍条項撤廃
3)70年代の教員採用
4)梁弘子さんのこと
5)「日韓法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書」(91年「覚書」)
6)1991年3月当時の文部省地方課長・小野元之の思想
7)まとめ
第二章 外国籍教員の格下げ任用の経緯
仲原良二(兵庫在日外国人人権協会副代表)
1)初期の国籍条項撤廃
2)国公立大学外国人教員任用法の前後
3)日韓「覚書」の国籍による合理的差異
4)まとめ
第三章 神戸市の副主任剥奪事件に抗する活動の歩み
小西和治(全国在日外国人教育研究所事務局長)
1)神戸市立垂水中学副主任剥奪事件とその波紋
2)市民団体・教員団体による訪韓行動
3)韓国政府が問題を重視!「日本政府は国際条約違反」と意見表明
4)年表と新聞記事で見る…常勤講師問題解決を目指す最近の動き
〈シンポジウム〉 ―在日外国人教員の任用の現状をめぐって―
1)自己紹介と各地の状況
2)在日外国人教員が学校にいることの意味
3)職場や社会に吹く風
4)在日外国人教員の任用の問題
5)壁に向かって…
6)会場から
〈パネラー〉
周人植(福岡市立壱岐小学校教員)
李大佑(京都市立春日野小学校教員)
韓裕治(神戸市立垂水中学校教員)
李智子(横浜市立横浜総合高校教員)
〈コーディネーター〉
小西和治(全国在日外国人教育研究所事務局長)
資料編
外国籍教員に関する法及び通知等
国会討議―外国籍者の公立小・中・高等学校の教員の任用について
外国籍教員採用(国籍条項撤廃)に関しての年表
あとがき
黄 光 男(兵庫在日外国人人権協会事務局長)
頒価500円
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