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今号の巻頭言より
「宝塚の放火殺人事件」
今月初め兵庫県宝塚市で起きた事件は、みなさんご存じかと思います。15歳の中学生女子が、日頃から憎しみを溜めていた母親、義父そして妹の一家全員を殺害しようとして、友人とともに深夜自宅に放火した結果、母親は焼死し、残る二人も重傷を負ったと、新聞記事が伝えています。そしてこの一家全員がブラジル国籍であるということも。
外国につながる中学生が起こした事件のうち、過去に大きく報道されたものとしては、2004年の東京・高田馬場が記憶に新しいです。夜中にゲームセンターで出会った5歳男児を13歳女児が、12メートルの高さから衝動的に突き落としたが、幸いかすり傷程度で済んだという事件です。被害者・加害者の双方が外国につながる子どもであったことから、子どもたちの「居場所」をどう確保するかが課題だと、事件を受けて集まった全国の仲間たちと話し合ったのを覚えています。
前回と今回の事件を比較すると、大きく違う点があります。今回の生徒は、事前に燃焼実験をおこなうなどとても計画的に見えるのです。だが直後に後悔した事実などを考慮すると、冷徹な殺人者ではないことが分かります。自らの行為がどのように結果するか、理解はしても実感できないほど孤立を深めていたのでしょうか。
子どもたちに居場所がないのだなと、いずれの場合も強く感じます。ブラジル人生徒は、家庭でも学校でも言葉の壁が立ちふさがり、精神的にも物理的にも傷つけられてきたようです。
私たちおとなは為すべきことを為していない。子どもの健全な成長を保障しない環境下、子どもたちの事件は起こるべくして起こるのです。新たな事件を聞いて驚きはありませんが、自責ばかりが募ります。 (EAS)